■I’m alchemist■

 かなり今更、という感もあるが、あとふたつエンディングを見ていないことを思い出した。『マリーのアトリエ』である。

 このゲームは、序盤でかなり手こずる(オレだけかもしれないが)。主人公があまりに弱いのだ。ザコ敵に一発でやられているようでは、材料を採取するどころか、目的地に到達することすらできない。日数がまるで足りない。気が遠くなるくらいセーブとロードを繰り返し、確率に期待し、それでもLv.50に達しない。あぁぁ、もう少し序盤で強ければ。
 そして役に立たない親友・シア。金さえあればお前なんか仲間にしてないんだよ。そうだ、何が悪いって貧乏が悪い。貧しさに負けた。いいえ世間に負けた。貧乏なせいで参考書が買えず、レベルの高い冒険者を雇えず、そして貴重なアイテムを手放すハメになったんだ。そうだ、全て貧乏が悪い。そういう時こそ役に立ってくれよ、シア。お前ん家金持ちなんだろっ!!

 と、貧乏人根性丸出しにしながらアイテム作成の日々。
 こんなに悪態つきながら、なんでオレは『マリー』をプレイするのか。
 眼を奪われるようなムービーがあるわけでもなく(元々ムービーが挿入されるゲームはあまり好きではないが)、ミニゲームには不満も多い。前述のように序盤の弱さには眼を覆う。
   何故『マリー』をプレイするのか。
と問われれば、オレはきっと
「え……、おもしろいから」
と、まるで言葉を知らぬ子供のような返答をするだろう。
   どうおもしろいの?
「システムがしっかりしてるし……」
   システムがしっかりしてることがおもしろいの?
「マリーかわいいし……」
   そんなに弱っちい主人公がかわいいの?
「うに〜〜っ!っていうセリフが……」

そりゃもうしどろもどろになってしまうだろう。
 そのくらい、オレにとってこのゲームの「おもしろさ」とは明確なモノではない。文句は多々多々ある。にも関わらず、プレイしてしまうのだ。
 無論、「サガ」のような惚れ込み方をしている訳ではなく、これは全てのエンディングを見てしまえば冷める熱なのかもしれない。
 しかしまぁ、それは、「伝説の人」EDと、「研究者」EDを見てから考えるとしよう。

I’m alchemist・了 14/July/1999

Tips

貧しさに負けた。いいえ世間に負けた。:「昭和枯れすすき」と云う歌の1節。高度成長期直前の世相を反映した、ひたすら暗い歌である。年寄りじゃないと解らないかもしれないな。

ミニゲーム:サターンとは思えないほどキーレスポンスが悪く、最早怒りを通り越して笑いがこみあげる。ミニゲームに力を入れて欲しいとは思わないが(大切なのは本筋だから)、些細な事にも全力を尽くすのがプロの仕事であろうと思う。

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