とある知り合いと喋っていて、パチンコの話になった。で、何故かその人が持っているプレイステーション用ソフトを借りることになったのだ。無論、パチンコ実機シミュレーションである。それには、「大工の源さん」と「ギンギラパラダイス」という、パチンコをやったことの有る人なら一度は目にしているであろう２機種が収録されていた。
　読み込みの遅さがどうにも気になりながら、とりあえず触ってみよう、と「攻略モード」。
釘も確率も変更可能。
「３０連チャンって、きっとこんな気分よね」
という気分が味わえる。しかし、こんな気分に浸っていても仕方ない。なにしろ換金ができるわけではないのだ。っていうか、このソフトの目的は「実機をシミュレートする」ことだ。すなわち、実機と同じ条件でプレイして、データを取ることが目的なのである。しかし、悲しいかなこのニ機種、現行機として活躍しているわけではない。置いているパチンコ屋は、多くても二十軒に一軒くらいではないだろうか。しかも釘を選べるほど多く設置している店なんて、あるとは思えないのだが。もちろんこれは、このソフトに収録されているバージョンは、という意味である。根強い人気を誇るギンパラなど、「海物語」と名前を変えてはいるが、これは間違いなくギンパラのバージョンアップ版である。
　それは置いといて。
いずれにしても、攻略モードではノスタルジィに浸るために使うより無い。確率は十分の一から五分の一程度が望ましいだろう(笑)。

　一方「炎の七日間モード」。
自分がパチプロになって、一週間ジグマの生活を体験してみる、というものである。資金は１０万円。確率・釘の調整は不可。前日と前々日のデータと釘の並びだけを頼りに台を選ぶ。そして、当然といえば当然なのだが店内では時間がリアルタイムで進む(苦笑)。入った店の営業時間が１０：００〜２３：００だとすると、三次元時間で１３時間打ちっぱなしってことができるわけだ。あんま嬉しくもないが(笑)。

　ゲームしてる時って、少なからず後ろめたさがつきまとうものじゃないですか。一切の生産活動はせず、ただ時間を浪費してるだけ、っていう。
　その後ろめたさ倍増なんですよ、この七日間モード。
　玉が残ってる事だけ定期的に確認して、別の事やってても構わない、っていうのがせめてもの救いかとは思いますが。これ書いてる今現在も「源さん」走り続けてるしね(笑)。
　それにしてもこのモードは、何のために存在するのかまるでわからない。実機と同じ設定にしてあると仮定すると、
「パチプロっていうのはこんなに根気の要る職業なんだから、１０００回大ハマリを覚悟できない根性無しは家でゲームして満足してな」
というメッセージが込められているように思えてならない。パチンコ推進委員会などというものが存在するとしたら、このゲームはおそらくその団体の対極に位置するものであるだろう。(断言)

　モードはともかく。台の出来について少し。
ズーム画面でスクロールできないのは考え物だけど、台自体は良くできてます。玉の流れ、釘の光り方、ランプの感じ、どれをとっても感じが出てる。ヘソ周辺でちまちまハネて入賞しない辺りとかもね(笑)。釘の開いてる台を選んでもなかなか入賞しなくて回らないデジタル。あぁ、あの日あの時を思い出す、って感じで。
ただ、どうにも物足りないのが音。
デジタルが回っている最中はその音楽が流れているから気にならないのだが、回っていない時。
私の部屋に満ちている音は、パチンコ玉の流れる「カシャカシャカシャ・・・・」という物悲しい音だけ。うわぁぁぁサミシイぃぃぃぃ・・・・・・。
　やっぱあの喧しい程の大音響ＢＧＭは、パチンコ屋の必要十分条件なんだなぁ、とか再認識してみたり。

　はぁ、ムナしい・・・と云いながら、それでも今ワタシのＢＧＭは「源さん」でね。そんで、「いくぜぃっ！」って声が聞こえると、どうしても耳が反応しちゃうんだなぁ(笑)。で、「来い来い来いっ！」とか云っちゃって。どれだけ確変が来ようとも、何連チャンしようとも、換金できないってことはわかってるのにねぇ。(爆笑)

必要十分条件・了　04/November/1999