■みっしり■

 この音の響きを良く思い浮かべてください。みっしり。ええ、みっしりです。
 この時点でほくそ笑んでくれるのはまず間違いなく「京極堂シリーズ」の読者だけだとは思うのですが、敢えて、みっしり。ぎっしりよりも、もっと隙間無く詰まっているようなイメージ。しかも、袋とかの不定形のモノに詰まっているのではなくて、真四角の箱になるべく四角いモノを、少しでも隙間が空いたなら、そこには綿をぎゅうっと押し込めませう、という感じ。はい、京極読者の方はここで久保さんの事をしっかり思い出すように。そうでない方は気にせず読み進んでやってください。
 さて、こんな導入で何のゲームについて述べようとしているのかと云うと、ポケモンなんだな、これが(笑)。
 ポケモンとみっしりにどう云う関係があるのかと問われたら、ワタシは即座に答えましょう。「いや、もう。そのまんま。イクォールで繋ぐくらいに」
 実は今回の結論はコレである。すなわち、ポケモンは「みっしり」なゲームである。これだけで理解してくださった方は、この下は読む必要ないですよ。
 さて、みっしりがいまひとつしっくりこない方の為に書き進めていきましょう。

ポケモンを知らない方のための解説

  別ウィンドウで開きます。かなり長い(苦笑)。

 今回ワタシがプレイしたのは「ポケモン金」である。前作の三年後の世界が舞台となっている。 システムはかなり使い易くなっていて、道具の収納数が増えているのが何より嬉しい。時計機能が備わって、時間帯によって出現するポケモンが変わる。前作との交換も出来る。相変わらずの遊び心。続編として、納得できる作りである。
 物語はサクサク進む。欲しいアイテムはすぐに手に入る。洞窟もダンジョンと呼ぶほど複雑な作りではない。あっという間にジョウト地方(主人公の住む地方)の8つのバッヂを入手し、四天王とチャンピオンに挑戦である。四天王とチャンピオンは、カントー地方のセキエイ高原にいる。カントー地方とは、前作の舞台となった場所である。というか、コガネシティに駅があって、アサギシティに港がある時点で確信はしてたわけだが。確信は覆されること無く、チャンピオンに勝ってようやくカントー地方を旅する事ができるようになる。おそらく、金・銀に登場するポケモン総数は250匹(前作分を含む)である。確かにワタシは図鑑作成に力を入れていなかったが、それにしても地方制覇して全ポケモンの三分の一もゲットしていないとは。舞台をカントーに移すと、これまたバッヂ集めである。前作から三年後の世界は、やはり三年前にワタシが歩んだ足跡があるわけだ。こちらはジョウトより更に簡単にバッヂを入手できる。既にメインの目的はバッヂ集めではなくなっているからだ。図鑑の完成が目的だし、第一既にセキエイ高原でチャンピオンになっているのだから、どんなトレーナーも敵ではない。さて、カントーのバッヂ8つも集まった。これで晴れてシロガネ山に入ることが出来る。
 ちょっと待て。バッヂ16個も持ってて、未だに発見すらしてないポケモンが50匹ほどいるんですけど……?ゲットしてないポケモンはというと、あと150匹(爆)。

 この、あと150匹という数を、ちくちく埋めていく作業が続くわけだ。レベルを上げて進化するポケモン、通信で進化するポケモン、育て屋さんに預けて卵を産ませないと見つからないポケモン。これで、このゲームの主旨が図鑑の完成である事がお解りいただけることだろう。実は図鑑という「箱」が詰まっていなくても平気な人にとっては、ポケモンはさしておもしろくもないゲームなのである。前述の通り、物語自体はあっという間に終わるのだから。図鑑完成の為にひたすらプレイし続ける、すなわち箱が「みっしり」の状態で無いと落ち着かない人種のためのゲームなのだ。「みっしり」のために、ちくちくちくちくちくちくちくちくちくちく…………。
 ポケモンは、「みっしり」のゲームなのだ。

みっしり・了 11/December/1999

Tips

みっしり:電車でたまたま隣に乗り合わせた人が鉄の箱を持ってたら、耳を澄ましましょう。「ほう」と云う呟きが聴こえるかもしれません。

前作:発売された色違いバージョンは赤・緑・青・黄色(ピカチュウ)。それぞれ出現するポケモンが微妙に違う。ピカチュウバージョンの場合、主人公の後ろをピカチュウがついてきてくれる。

ポケモン総数:イベント限定で配布されるポケモンがいたため、総数は252だったかもしれない。

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